今回の記事では、中小製造業・メーカーのブランディング戦略の3ステップをご紹介します!
下請け中心、価格は見積り勝負。技術はあるのに名前は出ない。でも、やり方次第で「選ばれる理由」は作れます。
この記事では、強みを言葉にする→形にする→伝えるの3ステップを紹介します。

監修者
中小企業診断士 清水誠太
岐阜県出身。Setchan製造業ブログの運営者。元大手メーカーの調達バイヤー、調達戦略のITシステムの技術営業として6年間勤務。その後、独立して製造業に特化したデジタルマーケティングの専門家として中小企業様を伴走支援。YouTubeチャンネルも公開中!
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なぜ中小製造業にブランディング戦略が必要なのか
多くの中小製造業・メーカーは「下請け」や「2次メーカー」としての立場に甘んじ、自社ブランドを持たないまま日々の生産に追われています。
・高い技術力があるのに、価格競争に巻き込まれてしまう。
・案件獲得は紹介頼みで、新規開拓が難しい。
・採用でも「無名企業」という理由で若手から選ばれにくい。
こうした悩みは珍しくありません。しかし、実際に下請け体質から脱却し、自社ブランドを築いた中小メーカーも存在します。
事例に学ぶ「株式会社能作」
富山県高岡市に本社を構える株式会社能作は、元々は鋳物の下請けを中心としたメーカーでした。そこで、自社の錫(すず)の高い加工技術に目を付けて、その技術力を活かすことで自社ブランドの食器やインテリアを展開していきました。
・デザイン性と機能性を両立した製品
・「曲がる器」「錫のぐい呑み」など話題性のある商品開発
・国内外でのブランド認知拡大

引用:株式会社能作HP:https://www.shopnousaku.com/
その結果、下請けから「高付加価値ブランドメーカー」へと大きな転換を果たしました。つまり、ブランディング戦略は案件獲得や採用力アップに直結する武器になるのです。
中小製造業・メーカーのブランディング戦略3ステップ
では、実際に中小製造業・メーカーが行うべきブランディング戦略の3ステップについて見ていきましょう!
ステップ① 自社の強みを言語化する
最初の仕事は「何が選ばれる理由なのか」を明確にすることです。
経営陣の勘だけでなく、現場・営業・品質・購買先といった周囲の声を集めると、社内の当たり前が市場では希少価値だった、という発見が出てきます。SWOTやバリュープロポジションキャンバスなどの枠組みを使い、「顧客の困りごと」と自社の力が噛み合う接点を特定しましょう。
ここで大事なのは“絞る勇気”。「何でもできます」は誰にも刺さりません。
例えば「精密板金=板金なら何でも」から、「試作1点を最短翌日で出せる機動力」へ。食品加工なら「老舗の安心感」ではなく、「HACCP・ISOに対応し、輸出基準まで含めて安心」と言い切る。
一文で言える強みに落とし込めたら、次のステップに進む準備は整っています。
落とし穴(よくある失敗)
・「高品質」「安い」といった抽象語のまま止まる(差別化にならない)。
・経営陣だけで決めて、現場や顧客の感覚とズレる。
ステップ② ブランドを体現する製品・サービスをつくる
言語化した強みは、目に見える「形」になって初めて伝わります。
自社が主導権を持てるプロダクトやサービスで、強みを一気通貫に体験できるように設計しましょう。
能作のように既存技術をデザイン価値へ翻訳する道もあれば、BtoBで「図面設計〜試作〜量産」までのワンストップを商品パッケージとして提供する道もあります。短納期保証やカーボンフットプリント削減など、顧客価値に直結する「付加機能」を掲げるのも有効です。
最初はニッチでも構いません。「自社の顔」になる一品(一施策)を持つことが突破口になります。
樹脂成形メーカーがオリジナル収納ケースを展示会で披露し商談が増えた例、機械部品加工が「環境対応パーツ」を打ち出してグローバル大手の調達基準に刺さった例など、小さな的に確実に命中させる戦い方が効きます。
落とし穴(よくある失敗)
・作って満足し、発信や販売設計をしない。
・顧客視点を欠いた「自己満足の新商品」になる。
ステップ③ 発信と体験を設計する
形にした価値は、一貫したメッセージで届けてこそ力になります。
認知(Web・SEO・SNS・展示会)→興味(事例・動画・技術解説)→信頼(工場見学・インターン・試作)という流れで、顧客と候補者の「次の行動」が自然に起きる体験を並べましょう。
・Webサイトでは製品紹介や技術解説のコラムを積み重ね、検索で課題を持つ設計者や調達担当に届く導線をつくる
・動画やSNSでは加工風景・検査工程・人の顔を出して透明性を高める
・採用では現場見学や短期インターンで「らしさ」を体感してもらう
こうした一連の接点すべてで、同じ約束(ブランドの核)が伝わる状態を維持するのがコツです。
板金メーカーが「加工事例ブログ」を毎月更新して検索経由の新規問い合わせが増えた例、食品加工メーカーがInstagramでレシピを発信して若手応募が増えた例など、「語るだけでなく見せる・触れさせる」ことが結果を動かします。
落とし穴(よくある失敗)
・ロゴやトーン、訴求が接点ごとにバラバラ。
・会社紹介で終わり、顧客の課題解決視点が抜ける。
ワークショップ事例|“強みの言語化→ブランド化→発信設計”を短時間で体験
弊社では、中小製造業向けに「3ステップ」を社内で体感できるワークショップを実施しています。
経営陣だけではなく、現場・営業・品質・管理部門まで横断で参加し、「自社ならではの価値」を一枚のキャンバスに可視化します。
ワークショップについては、企業様毎に目指すゴールが異なるため個別でプログラムを組んでいきます。
ゴール(例)
強みの一文要約/優先ターゲット/ブランドの核(約束)/90日アクションの合意
プログラム(一例)
現状と課題の共有 → 強みの棚卸し(顧客視点) → 価値提案づくり → 製品/サービスへの落とし込み → 発信&体験の設計 → 90日ロードマップ
アウトプット(例)
共有スライド(PDF)、優先メッセージ案、発信テーマ候補、KPI草案
下記の画像は、実際のワークショップの様子です。




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