【クーポンは危険】コストコの下請法違反から学ぶ「下請代金の減額」と「返品の禁止」

本記事では、下請法・取適法の違反事例として、コストコの事例を紹介します。

今回の記事はこんな方にオススメの記事です!

・コンプライアンス体制を強化したい委託事業者(旧:親事業者)の担当者様
・自己の権利と利益をしっかり守りたい中小受託事業者(旧:下請事業者)の経営者様や担当者様。
・法改正に向けて、自社の取引規定や契約書を見直す必要のある法務・コンプライアンス部門の担当者様

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中小企業診断士 製造業デジタルマーケティング専門家の清水誠太

監修者
中小企業診断士 清水誠太
岐阜県出身。株式会社シミセーの代表取締役。Setchan製造業ブログの運営者。元大手メーカーの調達バイヤー、調達戦略のITシステムの技術営業として6年間勤務。その後、独立して製造業に特化したデジタルマーケティングの専門家として中小企業様を伴走支援。YouTubeチャンネルも公開中!

目次

はじめに|クーポンがなぜ下請法違反につながるのか

「クーポンは販促だから、メーカーにも少し負担してもらってもよいのではないか」。
取引の現場では、こんな感覚でクーポン費用や協賛金の負担を求められる場面が少なくありません。

しかし、条件次第ではこれは明確に下請法違反(下請代金の減額)に当たります。
今回は、令和6年3月12日に公正取引委員会から勧告が出された、コストコホールセールジャパン株式会社(以下、コストコ)の事例をもとに、

・どこが下請法上のNGラインなのか
・製造業・メーカーとして何に注意すべきか

を整理していきます。

事例の概要|コストコの下請法違反(令和6年3月12日 勧告)

まずは事例の全体像を簡単に整理します。

■ 親事業者:コストコホールセールジャパン株式会社
 ・事業内容:食料品等の販売
 ・資本金:95億500万円(製造委託における親事業者の資本金要件(3億円超)を満たす)

■ 下請事業者:資本金3億円以下の法人(食品メーカー等)
 ・コストコから製造委託を受け、商品を納品している立場

この取引関係の中で、コストコは下請事業者に対して次の2つの行為を行いました。

・下請代金の減額(下請法第4条第1項第3号違反)
・返品の禁止(下請法第4条第1項第4号違反)

引用:公正取引委員会(https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2024/mar/240312_CostcoWholesaleJapan.pdf)

以下、それぞれ具体的に見ていきます。

クーポンサポート・オープニングサポートとは何か

今回のポイントとなるのが、コストコ側が用いていた

・「クーポンサポート」
・「オープニングサポート」

という2つの名目でした。

クーポンサポートとは

  • 商品販売時に行う割引クーポン施策の原資として位置付けられていたもの
  • 例:特定商品の○円引きクーポンを配布し、その費用の一部を下請事業者に負担させる

オープニングサポートとは

  • 新規店舗の開店時などに行うプロモーション費用として位置付けられていたもの
  • 例:新店オープンに合わせた特売企画等の費用を、取引先メーカーにも負担させる

表向きは「共同プロモーション」「販促協力」といったニュアンスですが、実態としては、支払うべき下請代金からその分を差し引いていたという点が問題となりました。

どこが「下請代金の減額」に当たるのか(第4条第1項第3号)

今回の勧告では、以下のような形で減額が行われていました。

  • クーポンサポート
    • 6社から合計2,863万円分を減額
  • オープニングサポート
    • 19社から合計487万円分を減額

イメージしやすいように、簡単な例で整理します。

例)あるプルコギ商品を1パック100円でコストコに納品しているとします。
本来:下請事業者は1個あたり100円を受け取るはず
しかし:

  • コストコ側が50円引きクーポンを配布
  • そのうち20円はコストコ負担、30円は下請事業者負担とし、
  • 「クーポンサポート費用」として30円を差し引いて支払う

この場合、表現上は「販促費の負担」や「協賛金」といった名目でも、実態としては本来支払うべき代金(100円)から30円を差し引いているため、下請法上は「下請代金の減額」に該当します。

下請法では、

  • 名目(協賛金・販促金・値引き 等)
  • 金額の多寡
  • 当事者間の合意の有無

にかかわらず、下請事業者に責任がないのに発注時に定めた代金を減らすことを全面的に禁止しています。

「相手も納得しているから大丈夫」
「業界ではよくある慣行だから問題ない」

といった感覚は通用しません。
今回も、名目が「クーポンサポート」「オープニングサポート」であったとしても、代金の一部を負担させる形で減額していたこと自体がNGとなりました。

返品の何が問題だったのか(第4条第1項第4号)

もうひとつの論点は、不適切な返品です。

今回の事例では、

・コストコが商品を受け取った後
・納品時に品質検査を行っていなかったにもかかわらず
・「瑕疵(傷や不良)がある」として下請事業者11社に返品を行っていた

という点が問題になりました。

下請法では、基本的に

・下請事業者に責任がないのに
・発注した物品等を受領後に返品すること

を禁止しています。

また、仮に「瑕疵(かし)」があったとしても、

・納品時に検査していなかった
・直ちに発見できる瑕疵なのに後から見つかったとして返品する
・直ちに発見できない「隠れたる瑕疵」であっても、受領後6か月を超えて返品する

といったケースは、原則として下請法違反となる可能性があります。

今回の事案でも、下請事業者側に責任がないにもかかわらず返品を行っていたとして、違反行為と判断されています。

総額約3,550万円の減額・返品とその後の対応

今回のコストコの事例では、

  • クーポンサポート・オープニングサポート・返品を通じて
  • 合計約3,550万円分の下請代金の減額等が行われていた

とされています。

勧告を受けた後、コストコは

  • 減額分・返品分の全額を下請事業者に支払済み
  • 再発防止のための体制整備

などの対応を行っていますが、公表事案となったこと自体が大きなインパクトと言えます。

特に、日頃から利用者も多い大手企業に対して勧告が出たことで、

「うちも同じようなやり方をしていないか」
「逆に、取引先からこういう負担を求められていないか」

という視点で、全国のメーカーにとっても他人事ではない事例になっています。

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製造業・メーカーが押さえておきたい3つの注意ポイント

今回の事例から、製造業・メーカーとして最低限押さえておきたいのは次の3点です。

① クーポン・販促費の「負担依頼」は減額リスクを常に意識する

  • 「クーポンサポート」「オープニングサポート」
  • 「販促協力金」「協賛金」
  • 「特売費用」「キャンペーン負担」

といった名目でも、実態として

・納品単価から差し引く
・何らかの形で支払額から控除する

ものであれば、下請代金の減額に該当する可能性があります。

「請求書の右下で一括控除」など、慣行的に行っているやり方も要注意です。

② 「合意しているから大丈夫」は通用しない

取引先との力関係や長年の付き合いの中で、

・「うちも厳しいので、なんとか協力してもらえませんか」
・「他社もみんなやっているので」

と言われると、断りづらい場面もあると思います。

しかし、下請法は当事者間の合意があっても違反は違反です。

・契約書や覚書に記載があっても
・メールで承諾していても

法令違反のリスクは消えません。

③ 返品ルールは「検査のタイミング」と「期間」をセットで確認する

返品に関しては、

・納品時の検査方法
・検査のタイミング
・不良が見つかった際の対応フロー
・返品可能な期間

などを契約や仕様書で明確にしておくことが重要です。

特に、食品など賞味期限がある商材では、

・「長期間売場に並んだ後に、売れ残りを返品される」
・「瑕疵なのか、取扱いの問題なのか、線引きがあいまいなまま返品される」

といったトラブルも起こりがちです。
自社側に責任がない場合は、返品に応じる前に一度立ち止まって確認する習慣が求められます。

2026年1月の「取適法」改正との関係

2026年1月からは、取適法への改正も予定されています。

  • 価格転嫁や賃上げを後押しする流れ
  • サプライチェーン全体での「取引の適正化」への要求の高まり

といった大きな流れの中で、下請法違反となり得る行為はこれまで以上に注目されやすくなります

  • 「値上げ交渉をしたら、代わりにクーポン費用負担を求められた」
  • 「価格は据え置きのまま、販促費だけ増えている」

といったケースは、今後ますます問題視されやすくなると考えられます。

こちらの記事で詳しく「取適法」に関して解説しております。

まとめ|自社を守るために今できること

今回のコストコの事例は、

  • クーポンやオープニング施策など、一見よくある販促の形でも
  • 実態として下請代金の減額や不適切な返品に当たれば、下請法違反になる

ということを改めて示した事案でした。

製造業・メーカーとして自社を守るために、まずは次の3つを確認してみてください。

  1. 取引先から、クーポン・協賛金・販促費などの名目で代金から控除されている費用はないか
  2. 返品ルールが、契約や仕様書で具体的に定められているか
  3. 価格交渉や条件変更の依頼があった際に、法令の観点でチェックできる社内体制が整っているか

弊社では、2026年1月の取引適正化法改正にフォーカスした完全ガイド動画と資料を、メーカーの皆さま限定で無料配布しています。

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