こちらの記事では現役のEV関連企業で調達に携わる私が、日々現場で感じている最新動向とデータに基づき、EVがなぜ「他人事ではない」のかを徹底解説します。
あなたの仕事と暮らしはEVでどう変わる?
「EV(電気自動車)って、まだ高くて充電も面倒。自分には関係ないかな…」
もしあなたがそう思っているとしたら、それは大きな誤解かもしれません。EVシフトはすでに世界中で加速しており、その影響は単に「どの車に乗るか」という話にとどまらず、私たちの仕事、暮らし、そして社会全体を根底から変えつつあります。

監修者
現役バイヤー Y.Z.
慶應義塾大学を卒業後、株式会社東芝にてバイヤーとしてキャリアをスタート。現在はEV関連企業にて、電子部品や設備機器の調達バイヤーとして従事。中国出身で、日本語・中国語・英語を活かしたグローバル調達交渉の経験が豊富。特に海外の現地調達拠点と現地サプライヤーとの交渉支援などを数多く経験。
今回の記事では下記のことが理解できるようになります。
・EV時代の幕開けと世界の普及状況:日本は本当に「ガラパゴス」なのか?
・EVは本当に高いのか?:価格の真実と維持費のメリットを徹底比較
・EV×自動運転:次世代モビリティを支える意外な関係性
・産業構造の劇的な変化:あなたの会社やキャリアにどう影響する?
それでは、早速見ていきましょう!
EV時代はいつから始まったのか?:世界の「当たり前」は目の前
EVは、SF映画の世界の話ではありません。すでに世界の新車販売の5台に1台以上がEVという現実をご存知でしょうか?
2000年代後半に黎明期を迎えたEVは,特に2020年代に入ってからのEVシフトの加速は目覚ましいものがあります。
これは、1913年にヘンリー・フォードがガソリン車の大量生産を始めてモビリティのあり方を一変させた時と同様の、歴史的な大変革期と言えるでしょう。
一方で、日本の新車販売におけるEV比率は未だ約2%に留まっています。世界との「ギャップ」は年々広がる一方です。
EV普及率の世界比較|日本は「ガラパゴス」化の懸念も?
世界のEV普及率は、地域によって大きく異なります。主要国のEV普及率(新車販売比率)を見てみましょう。
| 地域 | EV普及率(新車販売比率) | 備考 |
|---|---|---|
| 中国 | 約25% | 世界最大のEV市場であり、EVシフトを牽引 |
| 欧州 | 約15% | EVラインアップの拡充により政府政策依存の成長から脱却し自立成長期に突入 |
| アメリカ | 約8% | トランプ政権によるEV化の政府支援停止で足踏みも |
| 日本 | 約2% | 価格や充電インフラの課題が指摘される |
引用:東京電力HP(【最新】EVの普及率はどのくらい?日本と世界のEV事情を解説)
https://evdays.tepco.co.jp/entry/2021/09/28/000020#%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AEEV%E6%99%AE%E5%8F%8A%E7%8E%87%E3%81%AF-%E6%99%AE%E9%80%9A%E8%BB%8A%E8%BB%BD%E8%87%AA%E5%8B%95%E8%BB%8A%E3%81%AE%E5%8B%95%E5%90%91
このデータからもわかるように、地域差はあれど世界ではEVが「次の当たり前」になりつつあります。
日本は依然としてガソリン車が主流ですが、このままでは「自動車産業のガラパゴス化」という懸念すら現実味を帯びてきます。
企業や個人にとって、この世界の潮流から目を背けることは、大きなリスクとなりかねません。
EVは本当に高い?価格差の理由と驚くべきコスト削減の未来
「EVは高くて買えない…」
確かに、現時点ではガソリン車に比べて導入価格が割高に感じられるかもしれません。
例えば、軽EVの代表格である「日産サクラ」は補助金なしで約260万円(航続距離180km)に対し、人気の軽ガソリン車「ホンダN-BOX」は約165万円(航続距離600km以上)です。
しかし、注目すべきはEVの心臓部であるリチウムイオン電池の価格動向です。
| 年度 | 電池価格(1kWhあたり) |
|---|---|
| 2013 | 約806ドル |
| 2024 | 約115ドル |
わずか10年で電池価格は約1/7にまで下落しています。この傾向は今後も続くと見られており、将来的にはEVの導入価格がガソリン車と同等、あるいはそれ以下になる可能性も十分に考えられます。
この価格破壊こそが、EV普及を後押しする最大の要因なのです。
EVは維持費が安い?充電代 vs ガソリン代の衝撃事実
EVの経済的メリットは、導入価格以上に維持コストの低さにあります。
充電代はガソリン代の約半額:一般的に1kWhあたりの電気代が約30円とすると、約6km走行可能。
メンテナンス費用の削減:エンジンオイル交換やベルト類の交換が不要なため、定期的なメンテナンス費用が大幅に削減されます。また、回生ブレーキによりブレーキパッドの摩耗も少ないというメリットも。
自宅充電でさらにお得:自宅に充電設備を設置すれば、深夜割引などの電力プランや太陽光パネルで発電した電気を活用してさらに充電コストを抑えることができる。
特に、タクシーや配達車など、長距離を走行する業務用車両においては、EVへの切り替えによる経済効果は計り知れません。
企業のコスト削減、ひいては利益率向上に直結する重要な要素となるでしょう。
EVとガソリン車の比較|性能とコスパの逆転はもうそこまで来ている
かつてはEVというと「航続距離が短い」「加速がイマイチ」といったイメージがありましたが、その性能は日進月歩で進化しています。
特に中国では、EVとガソリン車の性能差がほぼなくなり、コストパフォーマンスでEVが優位に立つケースも増えてきました。
例えば、下記のようなコストパフォーマンスになっております。
・BYD「Song Plus EV」:航続距離500km、購入価格300~380万円
・Geely「Xingyue L(ガソリン車)」:同等性能で280~360万円
参考例から分かるように購入価格ではもはやガソリン車とほとんど差がなくなっており,安価な維持費と組み合わせたとき、EVを購入する経済的な合理性が生まれます。
中国の新車販売トップ10のうち9車種が電動車(うち6車種が純EV)という事実は、EVが単なる環境配慮車ではなく、性能と価格のバランスが取れた実用的な選択肢として消費者に選ばれていることを示しています。日本市場もこの流れから無縁ではいられません。
EV×自動運転|次世代モビリティの実現を加速する「最強の組み合わせ」
自動運転技術の普及には、膨大な量のデータを処理するための高性能なセンサー、半導体、そしてAI演算機能が不可欠です。
これらすべてを安定的に稼働させるためには、高電圧かつ大容量のバッテリーが欠かせません。
ここでEVの特性が活きてきます。EVはまさに、自動運転システムが必要とする電力供給能力と、緻密な電気制御が可能という点で自動運転車に最適なプラットフォームなのです。
・Google傘下で世界を先導する完全自動運転タクシーサービスを展開するWaymoは、JaguarのEVを自動運転タクシーに採用しています。
・将来的に普及が期待される「無人タクシー」や「自動配送車」も、そのほとんどがEVをベースに設計されています。
日本においても、「物流2024年問題」を背景に、省人化・効率化が喫緊の課題となっています。この解決策として、自動運転EVの導入が今後ますます加速するでしょう。
EVがもたらす産業構造の劇的な変化|あなたの会社は生き残れるか?
EV化は、自動車産業のサプライチェーン全体に大きな変革をもたらします。部品点数の削減や求められる技術の変化は、既存のビジネスモデルに大きな影響を与えるでしょう。
| 項目 | ガソリン車 | EV |
|---|---|---|
| 動力源 | 内燃機関+トランスミッション | モーター+インバーター+電池 |
| 部品点数 | 約3万点 | 約2万点(約1万点の部品が削減) |
| メンテ頻度 | 高(オイル交換、ベルト交換など) | 低(電気制御が主体、機械部品が少ない) |
この変化が意味することは明白です。
・エンジン関連部品メーカーは縮小・淘汰のリスクに直面し、事業転換が喫緊の課題となります。
・一方で、電池、モーター、インバーター、パワー半導体、そして高度なソフトウェア開発といった新たな領域で、大きなビジネスチャンスと雇用が生まれます。
・特に地方の製造業は、地域経済の再編を迫られる可能性があり、企業としての迅速な対応が求められます。
この産業構造の変化を理解し、自社の強みを活かした事業戦略を立てることが、EV時代を生き抜くカギとなるでしょう。
おわりに
EV時代は、単に「車を買うか買わないか」という個人的な選択肢の問題ではありません。
・地球温暖化対策としての世界的な要請
・維持費削減などの経済合理性
・働き方や地域経済の再編
これらすべてが、EVシフトによって引き起こされる変化であり、あなたの暮らし、あなたの仕事、そしてあなたの未来そのものに深く関わってきます。
EV関連企業への就職を目指す学生の皆さん、そしてEV関連業界で働くビジネスパーソンの皆さん。この大きな変革期をチャンスと捉え、新たな知識とスキルを身につけることが、未来を切り拓く第一歩となるはずです。
このブログが、皆さんのEVに対する理解を深め、今後のキャリアやビジネス戦略を考える一助となれば幸いです。


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